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 解説大法寺″十一面とは″

十一面というのは観音菩薩だけにあるもので、文字通り十一の面をもっている顔だからである。
左の三つの写真をよく見ていただきたい。頭の上に小さい仏の面が、いくつも並んでいる。正面に立っているのは「化仏」といい、「阿弥陀如来」をあらわす。観音菩薩は、勢至菩薩とともに本来「阿弥陀如来」の「脇侍」(両側にいる仏)とされているので、これは、そのことを象徴しているわけだ。
この「化仏」の左右に、頭部の上端を九つの仏面がとりまいている。注意すると、顔のようすがみな違っていることがわかる。前方の三面(「化仏」の右一体と左二体)は、まじめな仏の顔をしている。これを「菩薩面」という。右側の三面は怒った顔をしている。これが「忿怒面」である。左側の三面(この仏像には一面しか残っていないが)は牙をむいた顔だ。これを「牙上出面」という。最後に後頭部の一面は笑っている。「大笑面」といわれる。
以上で、合計十面となるが、なお頭のてっぺんに、やや大きめの仏面がある。これを「頂上仏」という。ふつうこの頂上仏を入れて、十一面となるので十一面観音といっている。
この十一面が何を意床するかというと、前の三体は”慈悲”を、向って右側の三面は”怒り”を、同じく左側の三面は”賞讃”を、後の一面は”笑い”をあらわすといわれる。民衆のさまざまな願いに対し、あるいは”慈悲”を以て、あるいは”愛の鞭”により、あるいは”賞める”ことから、あるいは”笑う”という方法で、それぞれ救って下さるというのである。
大法寺十一面観音の頭上にある十一体の仏面は正しくこの儀軌(仏教上の法則)を守ってつくられている。そして各面ともなかなか、個性的で味わいのあるお顔をしておられることは、一つ一つよく拝見してみるとわかる。
この仏像を制作した仏師は、この十一面の仏面には、格別の注意をはらったもののようである。
 
撮影日:
地区/自治会: 99上田市外/
シリーズ: 塩田平の文化と歴史 4解説
登録されているキーワード: 神社 その他の文化 観光 
 
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