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 解説大法寺相輪

塔の屋根のてっぺんに、長い柱のようなものが立てられていて、この部分だけは、全部鉄でつくってある。それを「相輪」と呼ぶ。
よく見ていくと一番下に重箱のような四角い台がある。これが「露盤」だ。その上のお椀を伏せたようなところが「伏鉢」、その上の花が開いたような形が「請花」、さらに丸い輪が九つ重なっているのが「九輪」、その上のすかし模様の彫刻が「水煙」−これは四方に4枚出ている−、水煙の上の丸い珠が「竜車」、最高部の先のとがった球が「宝珠」と名づけられている。つまり下から露盤・伏鉢・請花・九輪・水煙・竜車・宝珠と七つのものがあるのがあたり前で、これを総称して「相輪」といっているのである。
もともとこのかたちは、仏教と共に印度・中国からわが国へと伝来してきたもので、印度では、四角な土壇の上に、まず饅頭型の土盛りをして、その中に遺骨など信仰の対象をおさめた。そしてその上にいくつかの輪を重ねたり、彫りものを飾ったりした柱を立て、尊いものという意味を表したものである。そしてそれを「スツーバ」といった。
ところが仏教が中国へ入ってくると、中国では、すでに「楼閣造り」といって、高い建築をつくる技術が発達していた。そこで中国の仏教信者たちは、この印度から伝わってきた塔のかたちを、そのまま高楼の上にのせて崇敬することを考えた。それが現在の塔の基本形式となって日本へ入って来たのである。(塔ということばも、印度の「スツーバ」から由来したものという。)
だから、本源的に言えば、塔というものの信仰の中心は、屋根の上にのっている相輪の部分−−中でも土饅頭のかたちをした「伏鉢」にあるわけだ。
このように「相輪」というものは、塔を象徴する最も大切なところであることをまず認識せねばならない。
ところで、この大法寺三重塔の相輪は、なかなか出来がよいので知られている。とくに頂上に近いところにある「水煙」は、みごとなデザインで有名である。「四葉」というかたちを中心におき、その上部と下部に「唐草文」をのばしている。その外側に、上方に向かってのびる十筋の魚の骨のような線があるが、これは火焔部といって、火の炎の図案化されたものだ。
建築は火という字をきらうので、このかざりを「火煙」といわず「水煙」といっている。
この塔は九輪にも「風鐸」(風鈴のこと)がかげられていた。建立当初は「相輪」全部に金の鍍金(めっき)が、かけられていた筈だから、数十箇の「風鐸」が金色燦然とかがやいて、塔上にゆれていたと想像される。
 
撮影日:
地区/自治会: 99上田市外/
シリーズ: 塩田平の文化と歴史 4解説
登録されているキーワード: 神社 史跡 観光 
 
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