塩野神社の拝殿の前にかかっている橋である。太鼓の一部のような曲線を画いているので”太鼓橋”と呼ばれる。
この橋の下には、独鈷山から湧き出した清冽な水が淵となり、滝となって産川の本流に向かっている。古来塩田平をうるほして来たこの水は、そのまま信仰の対象とされたものであろう。
塩野神社は、かつては、この水の湧き出すところ、独鈷山の山頂近くの鷲岩という巨岩に祀ってあったものを、人里近くのこの場所に移したものと伝えるが、その伝承は実は塩野神社が水の神であったことを物語っている。
なお、この橋を渡り切った右側に、大きな岩がいくつも並び立っている。その上にみな石の祠があり、全体としてみごとな「盤座」となっている。盤座というのは、神が降臨する岩場をいうので、大和の三輪山の盤座などその典型的なものとされるが、塩野神社の原形は、この盤座に求められるのではないかという説も傾聴に値する。 |