塩田平の文化と歴史

● 安楽寺 木組み


 それでは、その「禅宗様」という方式は、どんなところに特色があるのだろう。まず写真をみてほしい。カラー写真のところでも説明したが「垂木」がみな扇の骨のように四方に広がって出ている。これが第一の特徴だ。
 次に垂木の下にある”組物”をみると、これが柱と屋根の間にびっしりと詰まっているのがわかる。「和様」では”組物”は柱の上だけにあるのが普通だが、この場合柱上ばかりでなく、その間にも入っているので、このように一ぱいに詰まって見えるのである。これを「詰組」といい、やはり禅宗様の特色となっている。
 次の写真は、ひさしの下で、「組物」が柱上だけではなく中間にもあるからこれも「詰組」である。なおこの写真にはいろいろかわったものが見える。板壁の上の方に弓のようなかたちをした縦の線が、横に長く帯のように並んでいる。これを「弓形連子」という。(波のような形をしているので「波形連子」という場合もある。)空気の流通をよくするため透き間をつくったわけだ。それから柱の上部は、少しすぼまっている。これを「粽(ちまき)」という。その粽の両側に三角形の材が左右に開いている。これが「木鼻」で、「弓形連子」の上部の横材が柱を貫いて左右に突き出しているのである。この「木鼻」の端は、波形にきざまれているが、これを「刳形」といい、大へん微妙な曲線を画いていて、これによって大体時代の見当がつけられる。
 以上、みな「禅宗様」の特徴であるから、覚えられるものだけでも頭の中に入れておくと、今後「古建築」を見学する場合、役に立つだろう。

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