塩田平の文化と歴史

● 生島足島神社 社殿


 生島足島神社は、巻頭のカラー写真のところでも説明したように、長野県では、諏訪大社と並ぶ古社である。
 そのことは、神社を池の中の島にお祀りしてあるいわゆる”池心の宮”というかたちになっていることからも知られるが、もっとも重要なのは、その御神体が「大地」であることだ。
 先年、とくに許されて拝観した筆者の経験によれば、御本殿(向かって左の建物)の中に、もう一まわり小さい御社殿が入っていて、その扉をあけると、普通の神社なら「御幣」とか「神鏡」とかの御神体がお祀りしてあるものだが、この神社の御本殿の中には、何もない。空間があるだけだ。つまりその空間の下の「大地」が御神体なのである。
 これは大切なことである。もともと日本人の信仰した神というものは、高い山とか、そそり立つ岩とか、大きな木とかいうものが多く、生活に密着し、何等かの恩恵を与えたり、威厳を感じさせるような自然物であった。たとえば諏訪大社は御神体が山である。だから拝殿はあるけれども本殿はない。山そのものが御神体だからである。
 生島足島神社の御神体も「大地」そのものである。「大地」こそ人類にとって万物を生育させてくれるもっとも有難いもの−−というところから、崇拝の対象となったものであろう。生島足島神社の草創の古さは、この御神体がよく物語っているといえよう。
 なお、この御神体を覆っている一まわり小さい御社殿は「大社造り」といって、出雲大社と同じつくり方になっていることも、注意しなければならない。「大社造り」であるから、妻入りといって、入口は向かって右側(西側)についている。ほんとうは西側を向いた神様なのである。

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